(以下は4月14日に高島福岡市長は発信した内容です)

福岡県の小川知事から緊急事態宣言に基づく休業要請が発出されました。その対象業種はおよそ東京都と合わせるということです。
一方、市民の生活や経済活動はもうすでに相当厳しい状況に追い込まれています。

そこで福岡市としては「法に基づく緊急事態宣言」の期間中、福岡市独自の緊急経済支援を行って、福岡県の求める休業要請が実効性を持つようにサポートすると共に、出来るだけ速やかに外出の自粛と、接触者を8割減らすことに寄与したいと考えています。
福岡県にもご理解いただき、県の外出自粛要請をより実効性あるものにすべく、ぜひ速やかに県内の他の自治体も同じ措置ができるよう、県からの財政支援を求めていきたいと思います。

福岡市が緊急事態宣言中に外出の自粛を強く後押しするための施策の考え方の柱は二つ。
①休業要請に協力いただいた施設などへの支援。
②感染リスクがありながら最前線で頑張っていただいている医療関係者等への支援。

まず最初の柱について。人との接触を8割減らすためには、この期間中、店舗を自主的に閉めていただくことが大きな効果を生みます。
それを後押しするために、法に基づく緊急事態宣言の期間に、県による休業要請・時短要請のあった業種を対象に、店舗を閉めるなどしてご協力いただければ、家賃の8割を福岡市が支援します。上限は50万円です。中小企業や個人事業主が対象となります(屋台もOK)。全体で約1万7000店舗、50億円規模になると思われます。

人件費などは国の雇用調整助成金制度が拡充されて最大9割が国費から助成されるので、ぜひ事業主の方は活用いただき、従業員の雇用の継続と休業中の給与の支給をよろしくお願いします。

さらに外出自粛の後押しと飲食店支援のために、飲食店からの宅配サービスで1000円以上を電子決済で注文された方は500 円分のポイント還元またはクーポンをお渡しします。これは大阪府等が先日打ち出したもので、とてもいい制度なので福岡市でも取り入れたいと思います。

文化・エンターテイメントの分野では、特にライブハウスは3密になりやすい環境にあります。緊急事態宣言の期間中、上記の家賃の8割を支援する政策を活用いただくことと合わせて、約230のライブハウスやスタジオなどで、無観客ライブ配信などの事業展開を行う上での導入費用などを上限50万円で支援します。

また休業要請がない市内の宿泊事業者の皆様に対しても、施設内の消毒・除菌対応等の安全対策にかかる経費を上限50万円で福岡市が支援します。

2つ目の柱は、感染リスクがありながら最前線で頑張っていただいている医療関係者等への支援です。

緊急事態宣言が出され、感染のリスクもある中で、休むことなく献身的にご対応いただいている皆さんがいらっしゃいます。そこで、法に基づく緊急事態宣言の期間中は、市内の医療機関(病院やクリニック)の医師や看護師の皆さんに特別給付を行います。施設規模に応じて、1医療機関当たり40万から600万円です。加えて、現に新型コロナウイルス患者の入院を受け入れた医療機関には受入患者1人につき30万円を給付します。

また高齢者や障がい者を介護する施設関係者の皆さん、民間の保育施設や障がい児福祉サービス施設等の皆さんを支援する特別給付も行います。
こうした特別給付関係はおよそ20億円規模で行います。

子どもたちが集まる保育園などは、先生やスタッフの皆さんがリスクの中で一生懸命対応していただいています。もしクローズすれば、医療、介護、警察など社会を維持する上で休めない皆さんも働けなくなってしまいますし、ひとり親や社会的弱者など、途方にくれてしまう人も出てくるでしょう。

改めての強いお願いです。警察や医療・介護関係者、保育施設勤務、ひとり親など、その他仕事上どうしても子どもを預けざるを得ない保護者の方以外は、出来る限り家での保育をお願いします。

どうしても預けざるを得ない子どもだけになれば、保育園における密度が下がり、園児同士や保育園の先生方への感染のリスクも下がります。

これを後押しするために、法に基づく緊急事態宣言の期間中、保育園を休んでも退園扱いとするのではなく、さらに休んだ日数は、日割りで保育料を割り引きします。一方、保育園への補助額は変えずに支援します。

そして新たに認可外保育施設についても、この緊急事態の最中ですので、同じ趣旨で保護者の皆さんにも届く支援を行います。園のリスクを下げるため、緊急事態宣言の期間に自宅保育をして下さった保護者の方には日割りで料金を割り引きしていただくよう認可外保育施設にお願いし、その期間の減額分については福岡市から認可外保育施設にお支払いするようにします。

留守家庭子ども会でも同じように、警察や医療・介護関係者、保育施設勤務など、仕事上子どもを預けざるを得ない保護者以外は、出来る限り自宅などで過ごさせてください。
子ども同士の密度を下げることで、子どもたちと見守りのスタッフや教員の方々を、感染のリスクから守ることになります。自粛していただいた方を対象に、一部利用料が返金できるようにします。

今紹介した福岡市の独自施策だけで予算規模はおよそ100億円弱の見込みです。財源としては国の臨時交付金の活用を検討していますが、間に合わない場合や、対象にならない事業がある場合は、まさにこういう時のために貯めてあった財政調整基金を取り崩して対応します。もちろん新年度事業の中にはコロナの影響で見直しが必要な事業もあるので、その財源をコロナ対策に振り分けるなど、福岡市役所として工夫できることは沢山あるので全部やります。

私たち福岡市は、市民に一番近い基礎自治体として、常に直接、たくさんの声を頂いています。福岡市は9割の方が第三次産業(サービス業など)で成り立っている特徴的な産業構造を有しています。だからこれまでは人にたくさん来てもらえるような施策をどんどん打ってきました。
そうした取組や市民の努力により、福岡市の税収は全国の政令市で唯一、過去最高を6年連続で更新するという大変元気な状況でした。
ところが今はその元気の源、交流が出来ない状況にあります。外出の自粛は、休業要請をした業種、していない業種関わらずに大きなダメージを受けています。

法律に基づく緊急事態宣言は知事に権限があり、国と直接協議出来るのは都道府県になります。

県の出す方針をしっかりバックアップしますが、この新型コロナウイルスの緊急事態宣言については、政令市なのに直接国と交渉が出来ず、スピード感が出しにくいことを、とてももどかしく思います。病床や医療体制の調整も県の権限で、政令市でも権限がないのです。

私は市長になって9年間、様々な経済政策を打ち出してきましたが、同時に行財政改革も行いながら福岡市の全体の市債残高(借金)は毎年必ず減らし、この9年間で3200億円以上減少させています。

また天神ビッグバンなどの巨大プロジェクトも、コンセプトは税金を使わずに規制緩和でチャンスを生み出し、民間活力を誘導するということ。つまり建て替えているのは福岡市からの補助金などではなく、全て民間活力、民間資金なのです。

そのような出来るだけ税金を使わずに街づくりをする、というこれまでのコンセプトからすると、今回のように各所にお金を出すという施策はポリシーと逆行します。ただ、今は平時ではなくて有事。それもオリンピックが延期されるレベルの国難です。ですからこれまでのコンセプトとは大きく違いますし、決して余裕がある財政状況でもありませんが、新型コロナウイルスを早期に終わらせるためにも、ここはお金を出す時だと思い、福岡市として決断をしました。市議会の皆さんのご理解もいただきながら、これからもスピード感を持って、見えない新型コロナウイルスという不安に対応していきます。

ちなみにこの規模の財政的支援の期間は「法に基づく緊急事態宣言期間中」ですから、5月6日までのおよそ1カ月です。想像したくもないですが、この緊急事態宣言がゴールデンウィークを超えて仮に延長されるような状況になったからといって、この規模のお金を出し続けるような支援を続けることは無理です。予算が耐えられません。そこはご理解いただければと思います。
だからこそ、力を合わせて短期集中で終わらせましょう。ゴールデンウィーク明けでなんとか落ち着かせるために、福岡市もやれることはしっかりやります。
だから、市民の皆さんにお願いしたいこと。それはみんなの命を守るために、外出の自粛協力を絶対に絶対によろしくお願いします。